2016 カウラ桜まつり
みなさん、「カウラ事件」という歴史上の事実をご存じですか?最初から少し重い話題ですね。
ここオーストラリアに住むまで恥ずかしながらその事実を知らなかったのですが、シドニーでは多くの日本人がそれを受け、カウラ(Cowra)というシドニーから西南に位置する町を訪れています。
少しカウラのイメージが重いものになってしまいましたので、まずはその美しさからご紹介を。
カウラに着くまでの道では、のんびりと草を食む牛や羊、ヤギたちが広大な敷地で暮らす様子や、一面菜の花の美しい景色が何度も何度も広がります。青い空、深いグリーン、イエローグリーン、そして鮮やかなイエローのコントラストは是非ご覧いただきたい絶景です。
この景色からご想像頂けるように、カウラは美しい自然とそこで暮らす優しい人々がいる大変素晴らしい土地です。
そんな場所で起こった悲しい出来事。まずは出発前にそれを理解しようと若き石田純一さんが出演している「カウラ大脱走」(英語タイトル:Cowra breakout)を観てみることに。予想とは違い、オーストラリアと日本の平和への願いが感じられるオーストラリアの素晴らしい作品でした。これを受けて安心してカウラへ出発です。(戦争に関する作品が苦手な方も、前向きにご覧頂けるものとなっていましたので是非ご覧ください。)
シドニーからカウラまでは車で途中休憩も入れると5時間弱。日本から旅行でいらして、さらにカウラに向かうのは強い意志がないとなかなか難しいですが、もしも体力と時間に余裕がありましたら観光もできますので足を運んでみて下さい。
途中雄大な景色を眺めながら、準備しておいたシドニー人気パティスリー「Zumbo」のパイやフルーツで朝食休憩。爽やかな風と暖かな日差しの中で贅沢なひとときが過ごせます。
今回の訪問は2016年9月24日、カウラの日本庭園で毎年開催されている「桜まつり」(CHERRY BLOSSOM FESTIVAL)に合わせました。カウラは悲しい歴史を受けつつも、日本との友好を今も築いてくれている大変ありがたい土地です。
こちらがジャバニーズガーデンのエントランス。
最高の天気に恵まれ、たくさんの方が来場されていました。
ステージではオーストラリアと日本、それぞれから質の高いグループの演奏や歌声が聞かれ、みなさんゆったりと楽しんでいました。
相撲に剣道、着物に成蹊大学のフードテントまであり驚きです。
園内各所で咲き誇る満開の桜。みなさん笑顔で記念撮影をしていました。
「桜まつり」を楽しんだあとは、日本庭園の前のKen Nakajima PIから続くSakura Aveを車で進むこと10分に位置する「War Cemeteries」へ。この看板が右手に見えたら左折です。
ここにはカウラ事件他、オーストラリア各地の第二次世界大戦中に亡くなった日本人の遺骨が集められて埋葬されています。
慰霊碑の周りには一人一人の名が刻まれたお墓があります。(献花は自由に出来ますが、花の保水になるようなものも事前に用意しておくとお花には優しいですね)この翌日25日には「戦没者慰霊祭」が予定されていました。
日本人の墓地入口と並んで右側にはオーストラリアの墓地入口があります。この墓地にカウラ事件でお亡くなりになった兵士の方のお墓もあります。(8月5日と刻まれた敷地右奥に位置する4基の墓石です)
やはりここに来ると残念な思いで一杯になりますが、近くに広がる菜の花畑と桜を見ていると、「大切なのはいつまでもオーストラリアと日本の平和と友好を築いていくという未来。」ということに気持ちに。
次回は桜まつりに続き、カウラ近郊の町やワイナリーをご紹介致します。